Spinning Process
原料から糸になるまで、数多くのプロセスが存在します。
代表的な工程を、近藤紡績所が誇る技術とともにご紹介します。
最も重視しているのは、大量生産ではなく「品質」です。
綿花の状態から出荷までの全工程において徹底した品質管理を実施し、
最先端のテクノロジーを駆使した設備を導入し
ものづくりを行なっています。最新でありながらも、
品質を優先するため古い機械を採用することもあります。
100年を超える長い年月をかけて培ってきた知見と技術を常に進化させて、
ハイクオリティなコットンを追究し続けています。
糸の高品質を決定づける
綿は天然繊維のため、その時々によって繊維の長さや太さなどが異なり、常に同じ設定では品質を維持できません。綿の特性を検査し、どのような配合でブレンドするかをそのつど決定し、それぞれの原料を解きほぐし混ぜ合わせていきます。その際に最新のセンサーを導入した設備で、綿に混在する葉のカスや茎、砂やごみなどの不純物を検知し取り除きます。糸の品質が決まるといっても過言ではないこの工程では、細心の注意を払ってセッティングを行います。
繊維を優しく解きほぐす
綿の繊維を解きほぐし、不純物や糸にできない短繊維を除去しながら繊維を平行に引き揃えていきます。近藤紡績所では旧式の機械を使用し、低速で優しく解きほぐすことで繊維を極力傷つけないよう心がけています。また、ネップ(繊維が絡まり合ってできた節)などの不純物が含まれると糸の品質に悪影響を及ぼすため、非常に細かいゲージに調整します。引き揃えた繊維を薄いシート状の層にして集束し、「スライバー」と呼ばれるロープ状に形成していきます。
綿の魅力を最大限に引き出す
前工程でできた「スライバー」を集め、引き伸ばし、ラップ状に重ね合わせていきます。この状態からさらに繊維を解きほぐし短繊維を徹底的に除去することで、艶のある柔軟な「スライバー」を形成します。除去する部分が多く手間もかかる反面、本当に上質な部分のみを使用することで、滑らかな肌触りで綿本来の美しさ、柔らかさを感じることができます。除去した短繊維は「コーマノイル」と呼ばれ、この綿を再び糸にするなど、新たなものづくりに活用しています。
ムラを中和し均一な
品質を維持する
前工程で作られた「スライバー」は太い・細い部分のムラがあるため、6〜8本合わせて引き伸ばし、1本の「スライバー」にすることでムラを中和し、均一な品質を確保します。この「ダブリング」作業を複数回重ねてもムラを極限まで減らすことは難しく、さらにゴムローラー部分で繊維を引き伸ばすことを複数回行なうことで繊維にダメージを与えてしまうため、ダブリングの最適条件を見極めています。
長い歴史の中で培った技術と製法
均一にした「スライバー」を所定の太さまでさらに引き延ばし、1インチ間に1回撚りを入れごく太い糸のような「粗糸」にします。撚りを入れるのは、次の精紡工程で粗糸が切れることを防ぐためで、撚りを入れすぎると引き伸ばす際に解けなくなってしまうため最低限に留めます。粗糸を巻き上げたものを「篠巻」と呼び、ダブルコーン型と呼ばれる特徴的な形にします。これは綿の柔らかい特性から、長方形型に巻きとると型崩れを起こしてしまうためです。極力多く巻きとり、次工程での交換周期を長くできるようにたどり着いた形で均一なテンションで巻き上げる、精度の高い技術が必要とされます。
多種多様な糸を紡ぐ
粗糸を用途に応じた太さに引き伸ばして撚りをかけて「糸」にし、ボビンに巻きとります。この精紡工程で「糸」の状態となります。大量生産ではなく、小ロット多品種を重視する近藤紡績所では、糸に様々な特徴を出すために多様な紡績機を活用し、お客様のニーズに合わせたキャラクターにしていきます。「一錘管理」という言葉もあるように、糸を紡ぐ一錘一錘が正常に作動しているかどうかを厳しく判断し、機械の設定を2/100ミリ以下という非常に細かい単位で全てを手作業で行っています。
品質の最終確認
紡績工場での最終工程。用途に応じた大きさや長さ、形になるように、精紡工程でつむいだ糸をボビンからチーズに巻きとります。最新のセンサーを搭載した機械を使用し、精紡工程までで取り除ききれなかったネップやスラブなどの欠点を感知し、機械が自動的に欠点部分をカット。再び糸同士を空気の力で繋ぎ合わせ、巻きとりを行ないます。徹底した品質管理の元、ハイクオリティな糸をお届けします。
これまでは汎用糸を中心に作り続けてきましたが、
近年では新たな糸の開発に挑戦しています。
「やってみないとわからない」と試行錯誤をくり返し、
技術の優れた熟練の技術者だけでなく、柔軟な発想を持った
若い技術者も含め固定概念にとらわれない開発を続けています。
一本の糸にこだわり続け、新たなチャレンジに挑む。
それこそが、私たちのものづくりのスタイルです。
ものづくりの舞台となる工場は、日頃からきれいに保つことを心掛けています。それは、見学に来られた皆さまが感心してくださるほど。
その理由は、何か異常が発生した際にすぐ気づくため。仕事をする上で汚れてしまうことはもちろんありますが、きっちり掃除をすることが重要であると現場で働く一人ひとりが感じています。
身の回りを常に整え、いつもきれいな環境の中で、大切な糸をつむいでいます。
使用する機械のメンテナンスは、ほとんどを自社内で実施します。日々触れている機械なので、弱点や癖、構造も知り尽くしており、糸の品質に異常が生じたときにはどこに原因があるのかを把握し、すぐに対処することが可能です。
工場には新しい機械と、古い機械が混在しています。
最新の機械は、自動で設定が完了したり、切り替え作業の時間を短縮することができたり、作業性が大きく向上。これまでに不可能だった設定も可能になり、より高い品質を実現することができるようになりました。
一方で、古い機械を今でも大事にメンテナンスしながら使い続けています。設定など全て手作業で行なうため時間や労力もかかり生産性は高くないものの、自分たちで細かく調整し設定できる良さもあり、繊維を傷めつけにくく高品質なものを追究する私たちのものづくりに合っている部分もあるためです。